ドイツのクリスマスと待降節(アドベント) ー クリスマスツリーはドイツが発祥 ー

23/12/2021

ドイツ

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今回は、ドイツのクリスマスについてお話ししたいと思います。

本稿の関連動画を以下にアップしています。良ければご参照下さい。

https://youtu.be/jkkR-Akc9nY

ドイツのクリスマスにおいては"アドベント (Advent) "が重要です。アドベントとは、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間のことです。この期間はクリスマスから4つ前の日曜日に始まります。

子供たちの楽しみとしてアドベントカレンダーがあります。紙や布などで作られ、1-24もしくは25までの日付の、窓やポケットがついており、その日の窓やポケットを開くと、イラストが現れたり、お菓子が入れてあったりします。

大人にも子供にも人気なのはチョコレート入りカレンダーです。全部一度に開けてしまいたいのをガマンしながら、「クリスマスまであと何日…」と毎日一粒ずつチョコレートを食べて、指折り数えクリスマスを心待ちにします。

ドイツでは、商店が営業できる時間が法律で定められています。「閉店法」と呼ばれる法律で、規定された一部の例外を除く小売店の営業時間を制限しています。この制限を設けた理由は3つあります。

一つ目は宗教的な背景です。日曜日はキリスト教の安息日なので、宗教的観点からその慣習を保護することを目的としています。

二つ目は労働者保護です。小売店の営業時間が長くなると、結果として労働者に長時間労働を強いる可能性があります。これを防ぐために、営業時間を制限するというものです。

三つ目は、小規模小売店の保護です。営業時間が法定されていないと、資本力のある大規模小売店が営業時間を延長することで、小規模小売店の客を奪い、小規模小売店が生き残れなくなる可能性があると考えた訳です。

こういった観点でルールを作るというドイツ人の発想は、私は好きです。

営業時間の制限は徐々に緩和され、2006年に閉店法に係る権限が州政府に移譲されてからは、月曜から土曜まで24時間営業を認めるまでに緩和する州が多かったのですが、私が駐在していた1990年代前半のデュッセルドルフでは、木曜日を除く月曜から金曜は7時から18時30分まで、木曜日のみ7時から20時30分まで、土曜は7時から14時までで、日曜の営業は禁じられていました。

土曜の午後と日曜日は、街を歩いてもショーウインドウを覘くウインドウショッピングだけでした。

大変だったのはスーパーの買い出しで、土曜の午前中は必ず車で郊外の大型スーパーマーケットに行って、一週間分の食料品等をまとめ買いしていました。

ところが12月になると、Lange(英語のLongと同じ)と称して、月曜から金曜は20時30分まで、土曜は18時30分まで、営業時間が延長されます。街のイルミネーションと、この営業時間延長で、クリスマス気分が盛り上がって行きます。

クリスマスツリー(ドイツ語:Weihnachtsbaum)はドイツが発祥です。ドイツ移民が米国に持ち込んで、そこから世界中に広まりました。クリスマスが近づくと、街のそこここで、森から切り出してきたモミの木を売り始めます。私は作り物のモミの木を買って毎年使っていましたが、多くのドイツ人は毎年本物のモミの木を買うようです。

クリスマスが終わると住宅地のゴミ集積場所に大量のモミの木が出され、ゴミ収集車がそれらのモミの木を集めて回ります。毎年およそ2,700万本のモミの木が消費されるという事です。

ドイツのクリスマスで有名なのはクリスマスマーケット(ドイツ語:Weihnachtsmarkt)です。アドベントの期間に合わせて、ドイツ各地で開催されます。

厳しい寒さを感じながら飲むグリューワインは格別です。グリューワインとは、赤ワインにオレンジピールやシナモン、クローブなどの香辛料、砂糖やシロップを加えて火にかけ温めたものです。若干アルコール分が飛ぶので、それを補うためラム酒などの蒸留酒を足して飲むこともあります。

私の住んでいたデュッセルドルフは北緯51度13分で、樺太の真ん中より少し上と同じです。また英国の南部からベルギー、オランダ、北ドイツにかかる一帯は、冬の時期は厚い雲に覆われている事が多く、短い昼の間もどんよりと曇っています。この1年のうちで一番暗い冬至前後の時期に気分を盛り上げるのに、アドベントはとても重要なのだと思います。

私は日本のクリスマスと正月が、キリスト教国である欧米と逆になっていると思います。日本ではクリスマスは忘年会気分で友人知人と集まる機会で、正月は初詣などしながら厳かな気持ちで家族と過ごす、というのが多数派ではないかと思うのですが、ドイツではクリスマスイブに教会に礼拝に行く人々が多くいます。テレビでも、教会での神父のお説教を中継したりします。一方大晦日は、年が変わる瞬間に街のそこここで花火が上がります。

別の投稿「ロシアのクリスマスは1月7日」で、ロシアのクリスマスについて説明しています。また、以前アップした投稿「アジアで唯一のラテンの国、フィリピン」で、"世界で一番クリスマスシーズンの長い国"と言われるフィリピンのクリスマスについても触れていますので、良ければ併せてご覧下さい。それではまた。

本稿の関連動画を以下にアップしています。良ければご参照下さい。

https://youtu.be/jkkR-Akc9nY

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ドイツ、インド、シンガポール、フィリピン、ロシアに、計17年駐在していました。今は引退生活を楽しんでいます。

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