今回は、ロシアのクリスマスについてお話ししたいと思います。
本稿の関連動画を以下にアップしています。良ければご参照下さい。
ロシアのクリスマスは12月25日でなく1月7日です。正確に言うと、ロシア正教会がユリウス暦を採用している為、ユリウス暦の12月25日が、私たちの使っているグレゴリオ暦の1月7日となっているのです。
私たちが今使っているグレゴリオ暦とは、ローマ教皇グレゴリウス13世がユリウス暦の改良を命じ、1582年10月15日金曜日（グレゴリオ暦）から使われている暦法です。
一方のユリウス暦は共和制ローマのユリウス・カエサル（ジュリアス・シーザー）によって紀元前45年1月1日から実施された、1年を365.25日とする太陽暦です。この0.25日を調整するために、4年に1回閏年を設けます。
ところが、実際の1年は365.2422日なので、この0.25日と0.2422日の差0.0078日（約11分14秒）が累積してゆくと、天文現象の発生日時と暦の上の日付の乖離が大きくなります。春分、秋分、夏至、冬至などの日付がずれてくるわけです。この乖離を修正したのがグレゴリオ暦です。
グレゴリオ暦では、西暦の年数が、100で割り切れるが400では割り切れない年は、平年とし、これ以外の年では、西暦年数が4で割り切れる年は閏年とします。このルールに従って、2000年は閏年でした。その時、私たちは400年に1回しかない閏年を経験した訳です。
累積したずれを修正する為に、ユリウス暦1582年10月4日木曜日の翌日を、グレゴリオ暦1582年10月15日金曜日としました。この時点ではユリウス暦とグレゴリオ暦の乖離は10日だったのですが、1700年、1800年、1900年に1日ずつ乖離が拡大し、現在は13日になっています。なので、ユリウス暦の12月25日がグレゴリオ暦の1月7日になっているのです。
さすがにユリウス暦では日常生活は不便なので、ロシア正教会の宗教行事以外はロシアでもグレゴリオ暦を使います。
ヨーロッパの国々では、クリスマスから新年まで休暇を取得する人が多くいます。それらの国では、1月1日は祝日となっているのですが、1月2日からは通常通りの勤務です。
ロシアでは逆に1月1日から1月7日までがクリスマス休暇になります。日本の松の内と同じです。ロシアでも新年はグレゴリオ暦をベースにカウントする為、新年を迎えてからクリスマスになります。その為、英語では"Merry Chirstmas and A Happy New Year"と言うところを、ロシア語では"C Hовым годом и счастливого рождества"と、順番が逆になります。
ところが最近はロシアでもグレゴリオ暦12月25日のクリスマスを意識するようになってきています。結果として12月25日から1月7日までがクリスマス休暇、という雰囲気になっています。
12月に入ると街のそこここにツリーをはじめとしたイルミネーションが飾られるのですが、当然ながらそれらは1月7日まで飾られています。
ところで、ソ連では宗教が禁止されていました。なのでクリスマスを祝う事も禁止されていました。その当時のロシアの人達は新年を祝う事のみが許されていたのです。なので今でも、ツリーには"С Новым годом!"（ロシア語でHappy New Year）という文字のみが添えられます。
ソ連崩壊後にロシア正教会は復権を果たし、総本山である救世主キリスト大聖堂も再建されます。今では1月7日はクリスマスとして祝日になっています。
ロシア版のサンタクロースは"ジェド・マロース"と呼ばれる霜の精です。
ジェドは「老爺（ろうや）」、マロースは「寒波」を意味します。孫娘の雪の精"スネグーラチカ"とセットになっている事が多いようです。
ホワイトハウス（ロシア連邦政府庁舎）前のノヴォアルバツキー橋のたもとには、毎年大きなジェド・マロースとスネグーラチカが飾られていました。
以前の投稿「アジアで唯一のラテンの国、フィリピン」で、"世界で一番クリスマスシーズンの長い国"と言われるフィリピンのクリスマスについても触れていますので、良ければ併せてご覧下さい。それではまた。
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